植木鋏


植木鋏

植木鋏には、花鋏、盆栽鋏、剪定鋏、刈り込み鋏etc…と、用途、植物の種類によって多種多様な形があり、偏に植木鋏では、なかなか通じない部分もあります。剪定鋏や刈り込み鋏は特に山形県が主な生産地として有名ではありますが、花鋏や大久保鋏に代表される植木鋏は、やはり関東製でしょう。
特に千葉県には一族三代にわたり伝統工芸技能者の資格を持ち、生け花の師範で知らない人はモグリといわれる野崎吉之助・吉之先生(光吉之)や大野正敏先生(政平)が伝統的な総火造りの技法を持って制作に精を出されておられます。

ただ、この木鋏、地方性などもあって、形が一定しておりません。下図の画像を見ていただければわかりますが、植木鋏といっても、これだけ形があり、これらは一握りでしかありません。
用途も、例えば関東では一般的な形で、本職の人も使用している大久保鋏ですが、名古屋など中部地方では、津島型以外は素人用としか見られません。逆に千葉県内で津島型を持ち歩いてみたことがありますが、ごつすぎてこちらの人に使える代物ではないようでした。
刃の造り方もこちらではあまりなじみのない造りをしてます。

また花鋏も流派によって形が様々あるのですが、今は殆どが池坊型、古流型に絞られているようです。これら花鋏はとても歴史が古く、またそれぞれ流派の歴史があるため、いつ頃から日本で造られているかは筆者の勉強不足もあり偏に説明できません。
ただ、これら植木鋏、花鋏は中国の宋時代に造られた物と系列を共にするといわれております。